近年、脱炭素社会の実現に向けて「カーボンクレジット」という言葉を耳にする機会が増えました。企業にとって、CO2削減の取り組みは単なるコストにとどまらず、クレジットを「創出」することで新たな収益源や企業価値向上のチャンスにもなります。
本記事では、カーボンクレジット創出の概要やメリット、実際の成功事例に加え、「これから始めたい」という方向けに具体的な手順をストーリー仕立てでわかりやすく解説します。
1. カーボンクレジット創出とは?(概要)
カーボンクレジットとは、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理などによって実現した温室効果ガス(CO2など)の「排出削減量」や「吸収量」を、国などが「クレジット」として認証する制度のことです。日本国内の代表的なものに、国が運営する「J-クレジット」があります。
この削減・吸収活動を実施し、クレジットを生み出すプロセスを「クレジット創出」と呼びます。

創出にあたって非常に重要なのが「追加性」という考え方です。これは、「クレジットの売却収益がなければ、そのプロジェクトの実施や継続が困難である」と認められることを指します。もし、すでに普及している施策や、何もしなくても利益が出る活動でクレジットが認められてしまうと、本来必要とされる「困難な削減活動」が進まなくなり、制度そのものが形骸化してしまいます。
そのため、初期投資の回収に3年以上かかる、あるいはランニングコストが増加するといった「経済的な障壁」がある活動のように、あえて温暖化対策として行われる活動であることが、クレジット創出には求められます。
2. カーボンクレジットを創出するメリット
企業がクレジットを創出することには、主に以下のようなメリットがあります。
- 環境貢献と売却益の両立: 環境対策に直接貢献できると同時に、創出したクレジットを売却することで利益を得ることができます。
- 企業価値・ブランド力の向上: 気候変動対策に積極的に取り組む企業としてのPR効果が期待でき、企業ブランディングにつながります。
- 組織内の意識改革: 社内の環境問題に対する意識を高める効果もあります。
3. 通常型とプログラム型の違い
プロジェクトの登録形態は、下記表の通り、「通常型」と「プログラム型」に分かれます。
「プログラム型」は削減・吸収活動を随時追加することが可能になります。

<プログラム型のイメージ>
プロジェクト実施者がコンソーシアム運営管理者となり、プロジェクトが対象とする方法論による会員の削減活動を取りまとめ、J-クレジットを創出する形式です。

4. J-クレジットの創出が可能な期間
J-クレジット制度では、クレジット創出が可能な期間を「認証対象期間」と呼びます。認証対象期間はプロジェクト登録を申請した日もしくはプロジェクトが実施された日のいずれか遅い方から8年間と定められています。また、手続きを行うことで認証対象期間の延長が可能となるケースもあります。

5. ストーリーでわかる!クレジット創出の手順と確認ポイント
「自社でもクレジットを創出したいけれど、何から始めればいいかわからない…」 そんな担当者の方に向けて、実際の創出ステップと確認すべきポイントをフロー図にまとめました。

【Step 1】事前診断(情報収集・構想):うちの活動はクレジットになる?
まずは、自社の取り組みがJ-クレジットの対象になるかを調査します。ここで重要なのが、前述した「追加性(経済的障壁など)」を満たしているかの確認です。また、すでに稼働している設備の場合は、「プロジェクト登録申請日の2年前以降に稼働した設備であること(2年前ルール)」という条件があるため、スケジュールの確認も必須です。
【Step 2】計画策定・申請:方法論を選んで、PJ(プロジェクト)設計する
自社の取り組みに合った「方法論(排出削減量の計算ルール)」を選び、プロジェクト計画書を作成してJ-クレジット制度事務局へ申請します。
【Step 3】妥当性確認・登録審査:プロの審査をクリアする
第三者審査機関による「妥当性確認」を受けます。審査には費用(平均数十万円〜百万円程度)がかかりますが、中小企業であれば「審査費用支援制度」を利用できる可能性があるため、事前に条件を確認しておきましょう。無事に審査を通過すれば、プロジェクトとして正式に登録されます。
【Step 4】モニタリング:実績をしっかり記録する
登録後、計画書に基づいて実際の削減・吸収量や活動データを計測し、モニタリング報告書を作成します。
【Step 5】クレジット認証審査:いよいよ価値が形に!
再び第三者機関による「検証」を受け、事務局での審議で承認されると、晴れてJ-クレジットとして認証・発行されます。
【Step 6】クレジット販売:売却益の計上やブランディング向上
発行されたクレジットは、市場で売却して利益を得るなど、自社の目的に合わせて活用します。
6. カーボンクレジット創出の具体的な事例(Carbon EXが全て伴走支援)
あらゆる業界でクレジット創出のチャンスが広がっています。具体的な事例を紹介します。
- 【太陽光】戸建て住宅向け省エネ設備(株式会社陽幸)
戸建て住宅向けの太陽光発電システムや蓄電池を提案する陽幸は、1件あたりの削減量が小さく制度活用が難しいという課題を抱えていました。しかし、専門家の伴走支援によりJ-クレジット登録を完了し、脱炭素や防災といった社会的価値を重視する事業モデルへと進化させています。 - 【太陽光】太陽光の環境価値を収益化(砂山商事株式会社)
石川県の地域密着型商社である砂山商事は、顧客企業が太陽光発電を導入してもその環境価値を活用しきれていない点に着目しました。産業用から住宅用まで幅広い太陽光発電設備を対象にJ-クレジットを登録し、単なる「物品販売」から「環境価値の提供」へと事業領域を拡大しています。 - 【農業】水稲栽培における中干し期間の延長(日本電計株式会社)
水田の水を抜く「中干し」の期間を延長し、メタンガス排出を抑制する取り組みです。デジタルツールを活用して農家の負担を軽減しながら、地域の復興支援にも貢献しています。 - 【物流】共同配送への変更(ロジスティード株式会社)
複数の荷主の配送物を集約して共同配送を行い、輸送にかかる化石燃料を削減する取り組みです。業界・J-クレジット制度で初となる共同配送によるプロジェクト登録を実現しました。 - 【廃棄物処理】廃棄物由来燃料の活用(株式会社TOAシブル)
ボイラーなどの熱源設備で化石燃料の代わりに廃棄物由来燃料を使用する取り組みで、国内初となるプログラム型プロジェクトとして承認されました。
7. カーボンクレジットの複雑な手続きも「Carbon EX」のワンストップ支援で解決
ここまでご紹介した通り、カーボンクレジット創出には「追加性の証明」や「審査機関の対応」「制度規定に適合したモニタリング」など、専門的な知識と煩雑な実務が伴います。
そこで頼りになるのが、カーボンクレジット・排出権取引所を運営する「Carbon EX」です。Carbon EXは、クレジットの創出可能性の診断から、プロジェクトの申請支援、第三者機関への対応、そして創出したクレジットの販売に至るまで、全フェーズをワンストップで伴走支援します。
事例で紹介した企業は、基本的に「専門知識がない」「人手が足りない」といった課題を抱えていましたが、Carbon EXのサポートによりスムーズにクレジット創出を実現し、環境価値を収益化することに成功しています。
自社の環境への取り組みを価値に変え、新たなビジネスチャンスを掴むために、まずはCarbon EXへ相談してみてはいかがでしょうか。
創出コンサル支援をご希望される企業は、こちらまでお気軽にご相談ください。