地域循環を重視したJ-クレジットを「Carbon EX」で調達し、ゼロカーボンファクトリーを実現
メトロ電気工業株式会社
メトロ電気工業株式会社 営業課:伊藤様
課題
- 熱利用を伴う製造現場では、再エネ導入や省エネだけで排出量を実質ゼロにすることが難しかった
- J-クレジットの選定基準や活用方法を社内で整理しきれていなかった
- 脱炭素施策を、自社の製品開発や地域資源の循環とどう結び付けるかが明確ではなかった
ソリューション
- J-クレジット調達コンサルティング
インパクト
- J-クレジット活用の方針を明確にし、2025年10月にゼロカーボンファクトリーを実現
- 地域性や事業との整合性を踏まえたJ-クレジット選定により、脱炭素施策に自社らしい意味付けが可能になった
- 工場単位の対応にとどまらず、Scope3対応やバリューチェーン全体の脱炭素へと視野が広がった
創業113年の技術基盤を生かし、環境配慮型ものづくりを推進

メトロ電気工業株式会社は、愛知県安城市に本社を置く熱源メーカーです。1913年、トーマス・エジソンが設立したゼネラルエレクトリック社の技術者3名により、白熱電球の国産化を目的に創業し、2026年は創業113年目となります。創業の原点には、「光をより安全に社会へ届ける」という思想があります。
その後、管球技術を応用することで、光源から熱源へと事業を発展させてきました。1981年にはこたつ用ヒーターの製造を開始し、2005年にはカーボンランプヒーターを開発・実用化。さらに2020年からは加熱装置のエンジニアリング事業も展開しています。現在は、これらで培った技術を基盤に、熱を安全かつ効率的に供給するものづくりを進めています。
当社は安全性・効率性・環境性・快適性を重視した製品開発を行っています。その主力製品の一つが、赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」です。高純度かつ高密度の薄板カーボンフィラメントを使用し、効率的に熱を発生・供給できる点が強みです。白熱電球から蛍光灯、LEDへと光源の主流が変化する中でも、管球技術を熱の領域へと発展させ、新たな価値を提供してきました。こうした技術の発展の根底には、「安全で効率的にエネルギーを社会に届ける」という一貫した考え方があります。
この考え方を基盤に、サステナビリティ経営を継続して推進しています。その背景には、「社会課題の解決を事業の中心に据える」という創業以来の理念があります。ガス灯が主流であった時代に、それに代わる安全な光源として電球を社会に届けることを目指したこの理念は、現在では「熱をいかに安全かつ効率的に供給するか」、さらには「製品に使用する材料のリサイクル性まで含めて環境に配慮した製品をどうつくるか」という形へと発展しています。こうした思想の延長線上にあるのが、化石燃料に依存しないクリーンで高効率な熱源を社会に実装するという現在の取り組みであり、この不変の価値観こそが脱炭素経営の原動力となっています。
その取り組みの一例が、岐阜県産の檜を活用したパーソナル暖房「檜の香(ひのか)」の開発・商品化です。木材は熱を加えると割れや剥がれが生じやすい素材ですが、熱変形しにくい日本の伝統木工技術を生かすことで製品化を実現しています。地域メーカーとの連携により岐阜県産の檜を用いた製品として展開しています。また、材料調達の段階から、地域資源の活用や伝統技術の継承、持続可能な資源循環を意識しています。だからこそ、脱炭素においても、価格や調達のしやすさだけで判断するのではなく、自社のものづくりや地域との関係性を重視しています。
ゼロカーボンファクトリー実現に向け、クレジット調達の難しさと活用方針の整理が導入の起点に
当社がJ-クレジットの活用を本格的に検討した背景には、脱炭素化に対する社会的要請の高まりと、自社工場のゼロカーボンファクトリー実現という明確な目標がありました。省エネの推進や再生可能エネルギーの活用は、製造業において重要な経営課題となっています。当社もソーラーパネルの導入や再生可能エネルギー電力の活用、業務用車両のPHEV化など、Scope1-2の削減に向けた対策を積極的に進めてきました。
一方で、これらの施策のみで排出量を実質的にゼロへ近づけるには限界がありました。特に熱利用を伴う製造現場では、電化や脱炭素燃料への転換に課題が多くあります。例えばガス使用の代替として水素活用を検討しましたが、実装面のハードルが高く、ゼロカーボンLPガスの調達についても、中小企業が必要量を安定的に確保することは容易ではありませんでした。つまり、外部環境として脱炭素要請が強まる一方で、企業内部には「実行可能な手段が限られる」という課題が存在していたのです。
そこで当社はJ-クレジットの調達でどうしても削減できない排出量をオフセットし、ゼロカーボンファクトリーの達成に挑戦し始めました。しかし、当社にはカーボンクレジットの専門知識を持つ人材がおらず、どの種類のクレジットをどのような考え方で選定、活用するべきかという判断軸が整理できていませんでした。単に価格や供給量だけで調達先を決めることも可能でしたが、当社は、製品開発や地域との関係性ともつながる形でJ-クレジットを活用したいと考えました。そこで、クレジットの知識が豊富で調達まで一貫して支援可能な企業に依頼することに決めました。
「Carbon EX」を知ったきっかけは、サステナビリティ担当者による情報収集に加え、展示会「エコプロ」での接点でした。他社サービスとも比較検討をしましたが、J-クレジットの必要量の調達だけでなく、地域やクレジットの種類まで含めた提案を行ってくれる点が好印象でした。ゼロカーボンファクトリーの達成だけでなく、その達成過程に自社らしさを持たせられる点が「Carbon EX」の選定理由となりました。
実際に当社が調達したのは、岐阜県の森林由来J-クレジットです。当社の「檜の香」は岐阜県産の檜を使った製品であることから、地域資源を活用しながら事業価値を生み出せるのではないかと考えました。このクレジットの活用により、木材利用や植林を含む森林の循環に資金が還元され、将来的な地域資源の持続可能性にも寄与することを期待しています。

次の課題はScope3削減。バリューチェーン全体の脱炭素を目指す
当社は「Carbon EX」を通じたJ-クレジットの活用により、2025年10月にゼロカーボンファクトリーを達成しました。この成果は単なる目標達成にとどまらず「何のためにJ-クレジットを活用するのか」という経営における意思決定の軸を明確にした点にあります。
クレジットの選定により、社員一人ひとりが自社のものづくりの思想や地域との関係性を踏まえ、種類や地域性まで含めて判断できるようになりました。こうしたプロセスを通じて社内の意識も変化し、今では社員自らが「この取り組みは自社のどの製品や技術と結びつくのか」を主体的に考えるようになっています。また、脱炭素施策をコストではなく、事業の一貫性を示すものとして社内外に発信しやすくなりました。
さらに、当社の脱炭素方針は工場単位からバリューチェーン全体へと視野を広げています。当社の製品は省エネ性能に強みを持ち、使用段階でのCO2排出量削減に寄与していますが、今後はサプライチェーン全体も含めた対応が必要になると見ています。次の課題であるScope3への対応を見据え、関係各社と連携しながら脱炭素経営を進めていきます。
創業以来、安全で快適な生活環境を支える製品を提供してきた当社にとって、環境対応は我慢や制約ではなく、より良い暮らしとものづくりの両立につながるものです。
今後は、Scope3を含むサプライチェーン全体での排出削減や、地域資源を活用した製品開発をさらに進めていきます。技術・製品・地域との連携のもと、脱炭素の活動を持続的な価値へと転換していきます。
企業プロフィール

メトロ電気工業株式会社
業種:電気機器・加熱装置関連製造業
社員数:86名
所在地:愛知県安城市
メトロ電気工業株式会社は、1913年創業の熱源メーカーです。白熱電球の国産化を原点に、現在は赤外線ランプヒーターの開発・製造、加熱装置のエンジニアリング事業を展開しています。長年培ってきた管球技術を基盤に、快適性と環境性を両立したものづくりを強みとしています。高い加熱効率を実現した赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」により、電化による脱炭素社会の実現にも貢献しています。
※掲載内容は取材当時のものです。