Carbon EX導入により低コストかつ効率的な非化石証書調達を実現し、工場の再エネ化を推進
日機装株式会社
日機装株式会社 企画本部 サステナビリティ推進室 室長:鈴木様
課題
- 工場を再エネ化したかった
- 再エネ電力が高価であった
ソリューション
- カーボンクレジットと非化石証書の購入
インパクト
- 工場の再エネ化に貢献
誰にもできないことに挑戦し続け、グローバルニッチトップ企業としての地位を確立
日機装株式会社は1953年の創業以来、 世界初・日本初の技術や製品によって、時代の変化を先取りしながら社会課題の解決に貢献してきました。インダストリアル事業では、エネルギー分野における製品、メディカル事業では血液透析関連製品、航空宇宙事業ではCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製航空機部品などを開発することで新たな市場を創出しています。これらの事業はそれぞれ異なる市場でトップシェアを確立しており、世界に誇る日本の技術として高く評価されています。
また、2021年11月に連結子会社である「Clean Energy & Industrial Gasグループ」が、米国カリフォルニア州の水素事業会社「FirstElement Fuel, Inc.」に出資しました。この出資を契機に、日機装は水素事業への本格的な参入を開始し、脱炭素への取り組みも加速しました。日機装は、産業の各分野においても環境負荷の低減を目指した技術革新を推進しており、脱炭素社会への貢献を企業戦略の重要な柱として位置づけています。
Carbon EXの導入により工場の実質再エネ化を実現
当社は血液透析関連製品を製造する国内基幹工場 金沢製作所のGHG排出量削減を進めるため、2023年にオンサイトPPA方式による太陽光発電システムとボイラ燃料を重油からLNGに転換するLNGサテライト設備を新規導入しました。この取り組みは、国内GHG排出量(SCOPE1及び同2)を2019年比、2025年15%減・2030年30%減の目標の達成に向けた施策の一つです。太陽光発電システムの導入により、金沢製作所の電力需要の約4%程度を再生可能エネルギーで賄えるようになりました。しかし、敷地スペースには限りがあり、さらなる設備増設が難しい状況でした。そこで、再生可能エネルギーをさらに調達するため電力会社の再エネプランを検討しましたが、単価が割高であったため導入には至りませんでした。
そのような状況の中で、アスエネを利用していた縁から「Carbon EX」の存在を知り、非化石証書の導入を決定しました。特にコスト面とボリューム面が非常に魅力的で、従来の電力会社の再エネプランに比べて大幅に低価格で必要量の環境価値を調達できる点が大きな決め手となりました。ただ、非化石証書という環境価値の新しい調達方法はランニングコストが増加するため、社内の工場関係者から懸念の声もありましたが、Carbon EXのコンサルタントが親身にサポートしてくださり、専門的な分野に関する疑問や不安に対して何度も丁寧な説明をして解消してくれたことで、社内の理解を得ることができました。この支援により、導入過程はスムーズに進みました。
「Carbon EX」の導入により、金沢製作所の電力の再エネ化は大きく前進し、非化石証書を活用したCO2排出量削減が現実のものとなりました。現在、同製作所は消費電力全量の実質再エネ化の目標を掲げ、非化石証書のほかに、エネルギー高効率の生産設備への更新やオフサイト・バーチャルPPAも導入したところです(2024年9月から一部運用開始)。本計画の達成により、年間約7,400t-CO2の削減を目指しています。特にメディカル事業では、環境貢献が事業価値向上に寄与するとの認識が広まり、CO2削減を実現した製品が競争力を高める差別化要因として大きな期待を集めています。現在はスコープ2の削減に注力していますが、将来的にはカーボンクレジットの活用可能性を含めスコープ1のさらなる削減にも取り組む方針です。この取り組みにより、さらなる環境貢献を目指し、企業戦略における持続可能性を一層強化していきます。
海外子会社と連携し、グローバルな環境取り組みを前進させる
当社は、脱炭素社会に貢献する企業として、事業を通じて持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。本業を中心に環境価値を追求し、ビジネスと環境問題をどのように融合させていくかを追求していきます。また、国内のみならず、海外の主要子会社(連結子会社 51社)のCO2排出量を把握し、削減施策を強化することも重要です。GHG削減は非常に重要である一方で、海外の子会社においてはアディショナルワークとしての負担に感じてしまう場合もあります。トップダウンではなく、共感を得ながらアイデアを出し合い、共に取り組んでいく姿勢が重要です。気候変動に関するあらたな州法の適用がありうるカリフォルニアの子会社をはじめとする海外拠点の取り組みは、今後の重要なテーマとなると考えます。当社は、脱炭素社会に貢献する企業を目指し、事業活動を通じて環境負荷を削減し、持続可能な未来を創造していきたいと考えています。
企業プロフィール
日機装株式会社
業種:産業用特殊ポンプ・システム、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製航空機部品、血液透析関連製品の製造
社員数:連結 8,248名(2024年9月時点)
所在地:東京都渋谷区
日機装は、工業、航空、医療分野で、ポンプや航空機部品、医療機器など専門的な機器を提供するメーカーです。産業用特殊ポンプ・システムなどを手掛ける「インダストリアル事業」、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製航空機部品を手掛ける「航空宇宙事業」、血液透析などを手掛ける「メディカル事業」を展開しています。
※掲載内容は取材当時のものです。
担当者コメント
この度は、日機装株式会社様の金沢製作所における非化石証書導入プロジェクトを担当させていただき、大変光栄に思います。本プロジェクトでは、非化石証書を活用した再エネ化がスムーズに進むよう、課題に寄り添ったコンサルティングを提供することを心掛けました。今後も、日機装様の脱炭素社会への挑戦を支援し、持続可能な未来に寄与できるよう努めてまいります。